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ABOUT BOC-ATCアスレティックトレーナーとは|BOC-ATCとは



アスレティックトレーナーは、スポーツ医科学の専門知識をもとに選手の安全と健康を守り、
安心・安全なスポーツ環境の整備とパフォーマンス向上を支える専門職です



アスレティックトレーナーと BOC-ATC について

アスレティックトレーナーとは、スポーツ現場において、外傷・障害の予防、評価・臨床検査、救急対応、リハビリテーション、コンディショニング管理などを専門的に担い、スポーツ医科学の知識を基盤として選手の安全と健康を守る専門職です。対象者への専門的サービス提供のため、医師や医療専門職、コーチやチーム管理者と連携しながら、スポーツ現場と医療をつなぐ役割を果たします。

BOC-ATCとは、米国アスレティックトレーナー資格認定委員会(Board of Certification)が認定するアスレティックトレーナー資格(ATC®)を有する専門職のことで、スポーツ医学(Sports Medicine)分野において米国で専門教育と資格認定を受けたアスレティックトレーナーを指します。
(※米国では資格表記として一般的に「ATC」が用いられますが、日本国内では他の資格と区別しやすいよう「BOC-ATC」と表記しています。※過去には「NATA-ATC」「NATAアスレティックトレーナー」と表記していた時代がありました。

BOC-ATC は、教育訓練、州法および条例などの制度に基づき、医師の指示または協力のもとで治療または専門的なサービスを提供するスポーツ医学分野の専門家です。
スポーツ科学と医療チームの一員で、欠くことのできない存在であるBOC-ATCによる専門的サービスには、けが(外傷・障害)や疾患のリスク低減、評価・検査と臨床診断、緊急対応(重大事象マネジメント)、治療的介入(けがや疾患のリハビリテーション)、健康促進と教育(医療管理と専門職の責任)などが含まれます。

BOC-ATCになるためには、CAATE(Commission on Accreditation of Athletic Training Education: アスレティックトレーニング教育認定委員会)によって認定された大学または大学院の専門教育課程を修了したうえで、BOC(Board of Certification: 米国アスレティックトレーナー資格認定委員会)の資格認定試験に合格する必要があります。現在、エントリーレベルの教育は修士課程へ移行しており、さらに全米ほぼ全州で州免許制度(LAT : Licensed Athletic Trainer)が整備されています。

また、BOC-ATCは米国医師会(AMA: American Medical Association)により医療専門職(Allied Health Care Professional)の一つとして認知されており、単なるフィットネス指導者ではなく、スポーツ医学に基づく高度な専門知識と臨床推論力を備えた準医療従事者として、スポーツ現場と医療をつなぐ重要な役割を担っています。
※米国では州法に基づく医療専門職として制度化されているアスレティックトレーナーですが、日本では医療資格ではありません。

スポーツが高度化し、競技レベルや身体負荷が高まる現代において、選手の安全確保と競技環境の質を支える専門職の存在はますます重要になっています。

さらに、アスリートの応急対応と競技復帰支援を起点に発展してきたアスレティックトレーナーという専門職は、いまや競技スポーツにとどまらず、研究教育機関・大学、学校、病院、企業、公的安全機関など多様なフィールドで活躍しています。現在では、社会のさまざまな場面において「安全」「健康」「パフォーマンス」を同時に最大化する役割を担っています。

アスレティックトレーナーは、競技力向上と安全管理の両立を支える存在として、安心・安全なスポーツ環境の整備と人々の健康的な生活の実現に貢献しています。

BOC-ATCは以下の5つの職業領域について教育を受け、さまざまな現場で実践しています。

1. リスク低減・ウェルネス・健康リテラシー (Risk Reduction, Wellness and Health Literacy)
2. 評価・査定・診断 (Assessment, Evaluation and Diagnosis)
3. 重大事象/救急対応マネジメント (Critical Incident Management)
4. 治療的介入 (Therapeutic Intervention)
5. 医療管理と専門職責任 (Healthcare Administration and Professional Responsibility)

米国におけるアスレティックトレーナーの状況

米国におけるアスレティックトレーナー(ATC)の状況は以下のとおりです。
※2023年 BOC(Board of Certification)公式データ

男女比(Gender Distribution)
女性 57.9% : 男性 41.7%

年齢構成(Age Distribution)
28.8% 20-29歳 / 37.2% 30-39歳 / 19.4% 40-49歳 / 11.1% 50-59歳 / 3.1% 60-69歳 / 0.3% 70+歳

経験年数(Years of Experience)
47.6% 0-9年 / 28.4% 10-19年 / 16.9% 20-29年 / 6.1% 30-39年 / 0.94% 40-49年 / 0.03% 50+年

平均給与(Average Salary)
米国における給与の全体平均は、966万円(6万9千ドル)とされています。
経験年数に応じた平均給与は以下の通りです。
1年以下:672万円(4万8千ドル) / 10年目:854万円(6万1千ドル) / 20年目:1092万円(7万8千ドル) / 25年目:1176万円(8万4千ドル)
※1 USドル=140円換算

ATC®️とは

BOC-ATC(Board of Certification – Certified Athletic Trainer: 米国アスレティックトレーナー資格認定委員会認定アスレティックトレーナー: ATC®)は、米国におけるアスレティックトレーナーの国家資格として位置づけられた資格であり、1990年に米国医師会(AMA: American Medical Association)によって医療専門職(Allied Health Care Professional)として公式に認知されました。現在では、米国保健福祉省(HHS: U.S. Department of Health and Human Services)および保健資源事業局(HRSA: Health Resources and Services Administration)により、単なるコーチやフィットネススタッフではなく、スポーツ医学の高度な専門性を有する医療従事専門職として位置づけられています。

米国における法制度
2025年現在、カリフォルニア州を除く米国49州およびコロンビア特別区(Washington, D.C.)では、アスレティックトレーナーに対する州免許制度(Licensure)、またはそれに関連する州法(ハワイ州は登録制度:Registration)が制定されており、カリフォルニア州においてもTitle Protection(職業名称保護制度)が採用され、さらなる法整備に向けた活動が継続しています。これは、全ての州およびD.C.において、アスレティックトレーナーという呼称を使うにあたり、法的枠組みが存在し、ほとんどの州でBOC認定試験(国家資格として位置付け)に合格し、各州の認定試験(州免許:LAT)に合格することが求められることを意味します。

教育制度と資格取得要件
米国でアスレティックトレーナーになるために受けるアスレティックトレーニング学の教育は、アスレティックトレーニング教育認定委員会(CAATE: Commission on Accreditation of Athletic Training Education)によって認定された大学または大学院の専門教育課程として体系化されています。現在、BOC-ATCになるためには、修士レベルのCAATE認定教育プログラムを修了することが必須条件です(※1969年から2022年までは、学士号が資格取得に必要な最低学位でした)。CAATE認定のアスレティックトレーニング教育プログラムの修了者のみが、BOCの資格認定試験の受験資格を得ることができます。

また、学士号が資格取得に必要な最低学位であった時代に資格を取得した者を含め、BOC-ATC資格保有者の70%以上が少なくとも修士号の学位を有しており、その割合は年々増加しています(2020年時点データ)。
このことは、BOC-ATCが単なるスポーツ現場の補助的職種ではなく、高度専門教育を修了した医療専門職集団であることを明確に示しています。

BOC資格試験:実践領域
BOCは現在、包括的な患者ケアを提供するため、以下の5つの領域における専門知識を有することを求め、資格認定試験を行なっています。

2023〜現在(PA8 : Practice Analysis 8th Edition)
1. リスク低減・ウェルネス・健康リテラシー (Risk Reduction, Wellness and Health Literacy)
2. 評価・査定・診断 (Assessment, Evaluation and Diagnosis)
3. 重大事象/救急対応マネジメント (Critical Incident Management)
4. 治療的介入 (Therapeutic Intervention)
5. 医療管理と専門職責任 (Healthcare Administration and Professional Responsibility)


専門教育
専門教育の認証基準は、CAATEによって策定さてれいます。

現在、教育課程は Standards for Accreditation of Professional Athletic Training Programs(2020 Standards) に基づくアウトカム重視型教育モデル(“学んだ結果として何ができるようになったか”を重視する教育)を採用し、知識・技術・臨床推論・専門職行動を統合した臨床能力の獲得を目標とし。段階的かつ継続的に評価しながら進められます。学生は、教室教育と臨床実習を有機的に結びつけた臨床統合教育(Clinical Integration)を通じて、実践的な意思決定能力を修得します。
CAATEが定める2020 Standards は、アスレティックトレーナー養成教育プログラムの質を保証するための全国的な教育認証基準であり、BOC-ATCを育成する教育課程の設計・運営・評価に関する包括的要件を示しています。

教育プログラムは以下の主要領域を構成する要素を満たすことが求められ、学生は、これらの領域を統合的に学習し、実際の患者・アスリートケアの文脈の中で応用できる能力の習得が求められます。

CAATE 2020 Standards の主要構成:
• 患者/クライアントケア基準(Patient/Client Care Standards)
• 臨床教育基準(Clinical Education Standards)
• 専門職責任基準(Professional Responsibility Standards)
• 多職種連携教育要件(Interprofessional Education Requirements)

これらの学習領域を基盤として、学生は、スポーツ医学、臨床評価、救急対応、リハビリテーション、コンディショニング管理などを体系的に学び、臨床実習を通じて実践的能力を身につけることが求められます。

CAATE Official Document
https://caate.net/wp-content/uploads/2020/07/2020-Professional-Standards.pdf

過去の教育基準
2011年〜2020年までは、過去にNATAがアスレティックトレーニング関係者から幅広い意見を取り入れる形で策定した「Competencies 第5版(2011)」に基づいて運営されており、講義と臨床の両方の環境におけるコンピテンシーベースのアプローチが使用されていました。

これらのコンピテンシーは、CAATE認定教育プログラムにおいて学生が修得すべき知識、技能、および臨床能力を体系的に示した教育基準であり、各プログラムは専門的かつ実践志向の学習成果を達成するための臨床統合能力(専門的、実践指向のアウトカム)に具現化されている広範な臨床学習要件を満たす必要がありました。

ATHLETIC TRAINING EDUCATION COMPETENCIES 5th Edition(2011〜2020)
https://www.nata.org/sites/default/files/competencies_5th_edition.pdf

学生は、コンピテンシーで特定された以下の領域について、講義及び臨床教育の双方を通じて体系的かつ正式な指導を受けること。
• 根拠に基づいた実践・EBP (Evidence-based practice)
• 予防と健康増進 (Prevention and health promotion)
• 臨床検査と診断 (Clinical examination and diagnosis)
• 傷病の急性期ケア (Acute care of injury and illness)
• 治療的介入 (Therapeutic interventions)
• 心理社会的戦略と紹介 (Psychosocial strategies and referral)
• 健康管理 (Health care administration)
• 専門家としての発達と責任 (Professional development and responsibility)


BOC資格試験要項の過去

2020〜2023(PA7 : Practice Analysis 7th Edition)
1. 外傷・障害・疾病の予防と健康の促進 (Injury/illness prevention and wellness Promotion)
2. 検査、評価、診断 (Examination, assessment, and diagnosis)
3. 応急処置と救急処置 (Immediate care and emergency care)
4. 治療的介入 (Therapeutic intervention)
5. 医療管理と職務上の責任 (Healthcare administration and professional responsibility)

2012〜2019(PA6 : Practice Analysis 6th Edition)
1. 予防 (Prevention)
2. 臨床評価と診断 (Clinical evaluation and diagnosis)
3. 即時および緊急時のケア (Immediate and emergency care)
4. 治療とリハビリテーション (Treatment and rehabilitation)
5. 組織と専門的な健康と幸福 (Organization and professional health and well-being)

教育基準の最新動向
現在、CAATE 2026 Standards の運用が予定されています。

本基準は、2020年に導入された Standards for Accreditation of Professional Athletic Training Programs を基盤とし、5年ごとの体系的レビューを経て改訂された最新の教育認証基準です。教育成果(Outcomes “学んだ結果として何ができるようになったか”)の評価をより重視する形へ発展し、アスレティックトレーニング教育の質保証と継続的改善を目的として適用されています。現在の教育課程は、患者中心ケア、臨床統合教育(Clinical Integration)、多職種連携、継続的品質改善を柱として構成されており、卒業時に医療専門職として実践可能な臨床能力の修得を目指して設計されています。

資格更新制度について
BOCが定めるATC®資格取得および資格維持制度は、現在、米国49州およびコロンビア特別区(Washington, D.C.)において、アスレティックトレーナーの資格および実践を規定する州の法制度の基盤として認識・採用されています。

資格取得後も専門職としての能力を維持・向上させるため、資格保持者には2年ごとの資格更新が義務付けられており、所定の継続教育要件(Continuing Education Requirements)を満たすことが求められます。

BOC-ATCという資格の信頼性は3つの柱によって支えられています。

(1) BOC 認定試験(Certification Examination)
(2) BOC 専門実践スタンダードと懲戒ガイドライン(Standards of Professional Practice and Disciplinary Procedures)
(3) 継続的教育要件(2年ごとの資格更新)(Continuing Education Requirements)

4機関の包括的連携による専門職の質と信頼性の維持
米国におけるアスレティックトレーニング専門職の発展は、教育・資格認定・研究・専門職団体という複数の機関が連携することによって支えられています。その中心に位置するのが、NATA、BOC、CAATE、NATA Research & Education Foundation の4機関です。
これら4機関は、アスレティックトレーナーという職業の発展と、市民に対する質の高いヘルスケアの提供を推進するため、Athletic Training Strategic Alliance(戦略的アライアンス)と呼ばれる協力体制を構築しています。この枠組みは、アスレティックトレーナーという専門職の質を維持・向上させ、社会における信頼性を確立することを目的として形成されています。

近年、スポーツ現場における職務内容の多様化・専門化、さらに医療チームの一員としての責任範囲の拡大に伴い、アスレティックトレーナーに求められる臨床能力は大きく高度化してきました。こうした背景を受け、他の医療専門職との教育水準の整合性を図る必要性や、高度な臨床推論力と意思決定能力を体系的に育成する必要性が高まりました。
その結果、2015年にAthletic Training Strategic Allianceは、アスレティックトレーナー養成教育のエントリーレベルを修士課程へ移行する方針を正式に決定しました。

Athletic Training Strategic Allianceは、以下の4つの独立した組織によって構成されており、それぞれが異なる役割を担いながら、アスレティックトレーナーという専門職の発展という共通の目標に向けて連携しています。

● BOC:資格認定機関として、資格と専門職基準を担保する
● CAATE:教育認証機関として、教育の質を保証する
● NATA:職能団体として、専門職の価値と実践的体系の発展を支える
● NATA Research & Education Foundation:助成および学術活動を通じて、研究と学術的基盤を強化する

このように、教育(Education)・資格認定(Certification)・専門職団体(Professional Association)・研究(Research)という四つの柱が連携することで、アスレティックトレーナー(ATC®)という専門職の質と信頼性が維持されています。

NATAとは

全米アスレティックトレーナーズ協会(NATA: National Athletic Trainers' Association)は、BOC-ATCおよびアスレティックトレーニングの職業をサポートする人々のための職能団体です。1950年、アスレティックトレーナーという職業の将来について議論するために、カンザスシティに約200名が集まり設立総会が開催されました。現在、NATAは、45,000人以上の会員を擁する世界最大のアスレティックトレーナーの職能団体へと発展しています。現在テキサス州にあるNATA本部には40名余りの常勤スタッフが働き、NATAのミッションを遂行するために働いています。

ビジョン・Vision
アスレティックトレーナーが、ヘルスケアの提供と発展に必要不可欠な実践者として世界的に認知される。独自のサービスを情熱的に提供することで、アスレティックトレーナーは、多業種ヘルスケアチームの不可欠な一員となる。
Athletic trainers will be globally recognized as vital practitioners in the delivery and advancement of health care. Through passionate provision of unique services, athletic trainers will be an integral part of the inter-professional health care team.

ミッション・Mission
全米アスレティックトレーナーズ協会のミッションは、固有のヘルスケアプロバイダーとして、アスレティックトレーナーとアスレティックトレーニング職を代表し、その継続的な成長と発展に従事し、促進することである。
The mission of the National Athletic Trainers' Association is to represent, engage and foster the continued growth and development of the athletic training profession and athletic trainers as unique health care providers.

NATAはその発足以来、アスレティックトレーナーという職業の認知向上の推進力となって来ました。1969年には、専門教育委員会(Professional Education Committee)と認定委員会(NATA Certification Committee)が設置され、同年には初の学部レベルの公認プログラムが2校設置されました。さらに1970年には初の認定試験が実施され、1972年には大学院レベルの公認プログラムが設置されるなど、教育および資格制度の整備が進められました。

1990年、アスレティックトレーナー・BOC-ATCは米国医師会(AMA : American Medical Association)によって、医療従事者として正式に認知されました。2025年現在、カリフォルニア州を除く米国49州とコロンビア特別区(Washington, D.C.)において、アスレティックトレーナーに関わる免許または関連する州法が制定されており、カリフォルニア州においても法整備に向けた活動が継続しています。

こうした制度的な発展の背景には、NATAによる継続的な政策提言活動(Advocacy)が存在します。NATAは、アスレティックトレーナーという専門職の社会的認知と制度的基盤を確立するため、州議会や行政機関、医療関連団体などと連携しながら、資格制度の整備、専門職としての役割の明確化、そして市民に対する安全で質の高いヘルスケアの提供体制の構築に取り組んできました。

こうした取り組みの根底には、「市民の安全と健康を守る」という専門職制度の基本理念があります。スポーツや身体活動の現場では、外傷や疾患への迅速な対応、安全管理、そして適切な医療連携が求められます。アスレティックトレーナーは、その専門的知識と臨床的判断に基づき、現場における安全確保と健康管理を担う専門職として位置づけられており、制度整備や教育基準の確立は、市民に対する安全で質の高いヘルスケアを提供するための重要な基盤となっています。

これらの発展の背景には、NATAという職能団体の組織的な取り組みがあります。NATAは、会員一人ひとりの専門性と経験を結集することで、アスレティックトレーナーという専門職の発展を推進してきました。教育制度の確立、資格認定制度の整備、医療職としての社会的認知の獲得、そして州法による資格制度の整備など、個々のアスレティックトレーナーだけでは実現が難しい多くの取り組みが、NATAという組織の活動によって実現されてきました。

NATAはまた、アスレティックトレーナーという専門職およびアスレティックトレーニング分野の主要組織によって構成される連携体制である戦略的アライアンス(Athletic Training Strategic Alliance)の一員です。戦略的アライアンスは、以下の4つの独立した組織から構成されており、役割は異なりますが、アスレティックトレーナーという職業を前進させるという共通の目標を有しています。

戦略的アライアンス(Athletic Training Strategic Alliance)
● 米国アスレティックトレーナー資格認定委員会 (BOC: Board of Certification)
● アスレティックトレーニング教育認定委員会 (CAATE: Commission on Accreditation of Athletic Training Education)
● 全米アスレティックトレーナーズ協会 (NATA, National Athletic Trainers' Association)
● NATA研究・教育財団 (NATA Research & Education Foundation)

NATAとJATOとの公式アフィリエイト関係
2014年、NATAは一般社団法人ジャパン・アスレティックトレーナーズ機構(JATO)と世界で唯一の公式アフィリエイト関係を締結しました。これは、米国以外では最も多くのBOC-ATCが活動する日本において、日本人BOC-ATCの活動を支援する組織としてのコミットメントであり、米国で発展してきた教育・資格制度および専門職の価値を基盤としたアスレティックトレーニング専門職の日本における発展を後押ししています。国際的な専門職の発展の中で、NATAとJATOは、日本のスポーツ文化および社会との新たな関係性の構築を視野に、国際的な連携を担う役割を果たしています。

このような国際的な専門職ネットワークの中で、NATAは現在、Strategic Allianceをはじめとする米国内の主要組織との連携により専門職の基盤を支えるとともに、BOCと各国の資格認定機関との連携によるInternational Arrangement(IA)などを通じて、アスレティックトレーニング専門職の国際的な発展にも重要な役割を果たしています。

NATA公式サイトhttp://www.nata.org/

BOCとは

米国アスレティックトレーナー資格認定委員会(BOC: Board of Certification for the Athletic Trainer)は1989年に非営利の資格認定機関として、アスレティックトレーニング資格発行機関として、資格認定プログラムを提供するために法人化されました。
BOCは、アスレティックトレーニングの臨床実践の基準及び、BOC-ATCの資格更新のための継続教育単位取得要件 (Requirements for CEU, Continuing Education Unit) を設定しています。

また、BOCは、各州の地方公共団体、認定機関と協力し、資格に関わる情報、専門家としての行動規範、資格問題に関する規制を提供しています。

加えて、BOCは、アイルランド、英国、カナダとの相互資格承認協定(アスレティックトレーニングおよびセラピー専門職における国際協定、International Arrangement:IA)を結んでいます。IAは、ケアの最適化、傷害予防、リハビリテーションの質向上、そして患者および市民がより良く生きる可能性を実現するための権利を支えるうえで、重要な役割を担っています。

IAは、国際的に比較可能な国際水準の実践基準(ベストプラクティス)、質の高い教育、そして専門職基準を担保する枠組みです。また、アスレティックトレーナー、アスレティックセラピスト、スポーツリハビリテーターが、相互の資格認定試験に挑戦できる道筋を整備することで、国際的な専門職の流動性(モビリティ)を実現しています。

現在、IAに参加している資格認定機関は以下の通りです(BOC公式サイトより)。
• Athletic Rehabilitation Therapy Ireland(ARTI), Ireland
• British Association of Sport Rehabilitators(BASRaT), UK
• Board of Certification(BOC), USA
• Canadian Athletic Therapists Association(CATA), Canada

BOC公式サイトhttp://www.bocatc.org/

CAATEとは

アスレティックトレーニング教育認定委員会(CAATE, Commission on Accreditation of Athletic Training Education)は、米国におけるアスレティックトレーニング教育プログラムの基準を策定し、大学の教育の質を審査、認定する独立した非営利認定機関です。
CAATEは、アスレティックトレーナーの専門職としての高度な水準を、教育的に担保する中核的存在として機能しています。
BOC-ATCになるためには、CAATE認定の教育プログラムを修了することが必須条件です。

専門教育の教育認証基準は、CAATEによって策定さてれいます。
アスレティックトレーニング教育プログラムは、過去にNATAがアスレティックトレーニング関係者から幅広い意見を取り入れる形で策定した「Competencies 第5版(2011)」に基づいて運営されていました。これらのコンピテンシーは、CAATE認定教育プログラムにおいて学生が修得すべき知識、技能、および臨床能力を体系的に示した教育基準であり、各プログラムは専門的かつ実践志向の学習成果を達成するための臨床統合能力(専門的、実践指向のアウトカム)に具現化されている広範な臨床学習要件を満たす必要がありました。

現在、教育課程はCAATEが定める Standards for Accreditation of Professional Athletic Training Programs(2020 Standards) に基づくアウトカム重視型教育モデル(“学んだ結果として何ができるようになったか”を重視する教育)を採用し、知識・技術・臨床推論・専門職行動を統合した臨床能力の獲得を段階的かつ継続的に評価しながら進められます。学生は、教室教育と臨床実習を有機的に結びつけた臨床統合教育(Clinical Integration)を通じて、実践的意思決定能力を修得します。
CAATE 2020 Standards は、アスレティックトレーナー養成教育プログラムの質を保証するための全国的な教育認証基準であり、BOC-ATCを育成する教育課程の設計・運営・評価に関する包括的要件を示しています。

教育プログラムは以下の要素を満たすことが求められ、学生は、以下の領域を統合的に学習し、実際の患者・アスリートケアの文脈の中で応用できる能力の習得が求められます。

CAATE 2020 Standards の主要構成:
• 患者/クライアントケア基準(Patient/Client Care Standards)
• 臨床教育基準(Clinical Education Standards)
• 専門職責任基準(Professional Responsibility Standards)
• 多職種連携教育要件(Interprofessional Education Requirements)

これらの学習領域を基盤として、学生は、スポーツ医学、臨床評価、救急対応、リハビリテーション、コンディショニング管理などを体系的に学び、臨床実習を通じて実践的能力を身につけることが求められます。

CAATE Official Document
https://caate.net/wp-content/uploads/2020/07/2020-Professional-Standards.pdf


Athletic Training Professional Program
― 歴史と進化、そして現在 ―


米国におけるアスレティックトレーニング教育は、半世紀以上にわたる制度的発展を経て、現在は、修士(Master’s)レベルがエントリーディグリー(資格取得に必要な最低学位)となっています。

■ 制度進化のタイムライン
• 1959年:初のカリキュラムモデル策定
• 1969年:学士レベル教育開始
• 1991年:JRC-AT設立
• 1994年:CAAHEP認定開始
• 2006年:CAATE設立
• 2015年:修士化決定
• 2022年秋:学士課程での新規入学生受け入れ終了
• 2026年頃:修士課程へ完全移行(見込み)



■ 教育制度のはじまり

体系的な教育の出発点は、1959年に初の公式カリキュラムモデルが策定されたことに始まります。

1969年、NATA(National Athletic Trainers’ Association)は大学における学士レベル教育プログラムを正式承認し、専門職教育としての基盤が確立されました。以降、1970〜80年代に全米へ拡大し、1990年代には学士課程がエントリーレベル教育の中心となりました。

1991年10月には、CAATEの前身である、アスレティックトレーニング教育合同認定委員会(JRC-AT: Joint Review Committee on Educational Programs in Athletic Training)がテキサス州で法人化されました。それ以前はNATAが教育承認を行っていましたが、JRC-ATの設立により、教育認定はより制度化されました。

JRC-AT は、米国医学会(AMA)の医療関連資格教育に関わる委員会として発足し、健康医療資格教育に関する基準を定める機関である、健康教育認定委員会(CAAHEP: Commission on Accreditation of Allied Health Education Programs)の下で認定活動を行いました。

そして2006年6月、CAAHEP から独立し、現在の「アスレティックトレーニング教育認定委員会(CAATE)」が設立され、新たな専門教育プログラム認定機関として再編されました。

■ 修士レベルへの移行

1969年から2022年までの約50年以上にわたり、アスレティックトレーニング教育の主流は学士レベルのProfessional Programでした。

しかし、救急対応の重要性の増大(外傷性脳損傷(TBI)や重度熱中症への高度対応など)、職務内容の多様化・専門化、さらには医療チーム内における責任範囲の拡大など、アスレティックトレーナーに求められる臨床能力は年々高度化してきました。

こうした実践現場における専門性の深化に加え、他の医療専門職との教育水準の整合性を図る必要性、そして高度な臨床推論力と意思決定能力の体系的育成が求められたことを背景に、2015年、Athletic Training Strategic Alliance(BOC・NATA・CAATE・NATA Foundation の主要団体連合)は、エントリーレベルを修士課程へ引き上げる方針を正式決定しました。

段階的な移行の流れ:
• 2015年、修士化を正式決定
• 希望する学士課程を持つ大学は修士課程の認定を取得するための手続きを開始
• 2022年秋学期をもって学士課程での新規入学生受け入れ終了
• 現在は修士課程のみが入学可能なCAATE認定Professional Program
• 2026年頃をもってteach-out期間(学士と修士が存在)が終了(2022年秋入学の学士コホートが卒業するまで)

※この変更は新規学生に適用されるものであり、既存資格保持者に追加学位取得を求めるものではありません。

■ 修士化の本質的意義

修士化は単なる学位変更ではありません。
それは、アスレティックトレーナーを高度な医療専門職として制度的に再定義する戦略的進化であり、その社会的責任と専門的自律性を一段と高めるための転換点でした。

教育内容の深化により、以下を目的としています。
• より高度な臨床判断能力の育成
• Evidence-Based Practice(EBP)の徹底
• 医療チーム内での専門職責任の明確化
• 国際水準の教育・実践基準との整合

アスレティックトレーナーは、傷害予防、評価、救急対応、リハビリテーション、パフォーマンス支援を担う医療専門職です。その専門性を担保するため、教育水準は発展してきました。

■ 現在のCAATEの役割

現在、CAATEは以下のプログラム認定を統括しています(2025年現在、年度により変動)。
• 約260のプロフェッショナルプログラム(254校の修士課程、4校の学士課程)
• 約20のポストプロフェッショナル学位プログラム
• レジデンシー及びフェローシッププログラム

BOC-ATC資格試験を受験するためには、CAATE認定教育プログラムの卒業が必須条件です。

■ まとめ

アスレティックトレーニング教育は、約半世紀にわたる学士教育の伝統を礎に、現在は修士レベルへと進化しました。それは、専門職としての質を高め、社会に対して明確な医療的責任を果たすための制度的成熟と構図的進化を意味しています。

教育制度の変遷は、専門職の社会的位置づけそのものを映す鏡です。
CAATEの歴史は、アスレティックトレーナーという職域がどのように制度化され、医療専門職として確立されてきたかを示す軌跡そのものと言えるでしょう。

CAATE公式サイトhttps://caate.net/

NATA Research & Education Foundationとは

NATA研究・教育財団(NATA Research and Education Foundation)はNATAの教育と研究に関する慈善部門です。NATA研究・教育財団は1991年にNATAとJohnson & Johnsonからの助成金を受けて設立されました。NATA財団は、研究と教育を通じてアスレティックトレーニングの専門職を発展させることを目的とした非営利団体です。
2020年までに、NATA財団は以下のような活動を行い、AT専門職の発展に貢献しています。

・ 3億7千億円(358万ドル)以上の奨学金を1,775名に授与
・ 351件、5億円(504万ドル)の研究助成金の授与
・ 7,900件以上の演題を発表する機会を提供
・ 93の指導教員と若手研究者のペアを組み、若手教員・研究者が高等教育機関に就職してから数年間、指導、助言、支援を受ける機会を提供
・ NATA研究・教育財団内の専門委員会とNATAと協力して、2012年以降、16のポジションステートメントを公表

NATA Research & Education Foundation公式サイトhttps://www.natafoundation.org/