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Proprioceptive Training and Outcomes of Patients With Knee Osteoarthritis: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials

2019.09.30 | 著者:

Proprioceptive Training and Outcomes of Patients With Knee Osteoarthritis: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials


概要


骨関節炎に罹患した患者の痛み、こわばり、身体機能、そして機能テストの結果に対する固有受容性トレーニングの効果に関して報告した研究をメタ解析により検証し、固有受容性トレーニングが痛みの軽減や日常生活の身体機能向上に有効であることを報告した。


内容


背景:膝関節の骨関節炎は中・高齢者において最も顕著にみられる疾患であり、固有受容感覚の低下を伴う。現在のところ、どのような種類の固有受容性トレーニングが膝関節の骨関節炎の症状改善に有効であるかに関して明確な推奨事項は無い。


研究目的:メタ解析により骨関節炎を罹患している患者における固有受容性トレーニングの痛み、こわばり、身体機能、そして機能テスト結果に対する効果を検証すること


方法:骨関節炎に罹患した患者の痛み、こわばり、身体機能、そして機能テストの結果に対する固有受容性トレーニングの効果に関して報告した研究を、Pubmed、MEDLINE、CINAHL、SPORTDiscussの4つの検索エンジンを用いて体系的に検索した。1946 年から2017年の間に報告された研究を対象とし、無作為化比較対象試験によりその効果を検証したものを分析対象とした。


結果:分析基準に適合した7つの研究を検証した結果、固有受容性トレーニングは痛みを軽減させ、日常生活の身体機能や歩行速度を向上させることが示された。しかし、こわばりの減少や歩行以外の可動性のテストにおいては固有受容性トレーニングは有意な改善効果は示されなかった。


結論:固有受容性トレーニングは膝関節骨関節炎を有する人の痛みの軽減や日常の身体機能向上に有効である。したがって、リハビリテーションプログラムには固有受容性トレーニングを含めるべきである。しかし、こわばり感や歩行以外の可動性テストに対しては明確な効果が示されていないため、さらなる症状改善が見込まれるリハビリテーションプログラムが必要である。


臨床現場への応用


本研究においては、膝の骨関節炎を有する人の日常生活における痛みの軽減や身体機能向上のためには、トレーニングの中に、体幹や下肢筋力向上を目的としたコーディネーショントレーニングなどの神経筋制御の要素を含め、週3~4回の頻度で行い、1セッション30~40分程度行うべきであることが、これまで報告された研究結果を根拠に示されている。


Reported by 下河内 洋平(大阪体育大学)


【参考文献】


Jeong, H. S., et al. Proprioceptive Training and Outcomes of Patients With Knee Osteoarthritis: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Journal of Athletic Training. 2019; 54(4): 418-428.