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【Season2 vol.12】脳振盪受傷後8週間の神経筋トレーニングプログラムは受傷後1年間の怪我のリスクを減少させる

2022.02.24 | 著者:
既存のデータでは、脳振盪を受傷後、アスリートは怪我のリスクが増加することが示唆されています。そのため、プレー復帰成功後の怪我のリスクを低減する方法に関する研究は、新しい治療のアプローチにつながる可能性があります。
この研究では、脳振盪後1年間のスポーツプレー時間損失を伴う怪我に対する影響を、神経筋トレーニング(NMT)と従来通りの標準的な治療(SC)を比較して有効性を検討しました。

目的
脳振盪後1年間のスポーツプレー時間損失を伴う怪我に対するNMTの有効性をSCと比較して検討すること。


方法
合計27名(12-18歳)のユースアスリートに対して、脳振盪後の初期評価とプレー復帰後の評価を行った。競技復帰後、彼らは NMTグループまたはSCグループに無作為に振り分けられた。NMTグループは、週2回8週間のプログラムで、着地安定化に重点を置いたガイド付き筋力エクササイズを行った。SCグループは段階的に運動強度を上げるスポーツへの復帰プログラムのみで、特別なエクササイズは推奨されなかった。その後 1年間、被験者のスポーツによる怪我と組織化されたスポーツ競技への参加を毎月記録した。


結果
脳振盪から競技復帰許可後の最初の1年間で、スポーツのプレー時間損失を伴う怪我は、NMTグループ(36%)に対してSCグループ(75%)でより多くみられた。年齢と性別で調整した後、SCグループにおける受傷の危険性は、NMTグループの3.56倍であった。1年間のモニタリング期間中のスポーツ参加は、NMTグループとSCグループで同等であった。


結論
予備的な結果ではあるが、神経筋トレーニングを開始することで、脳振盪受傷後1年間のスポーツプレー時間損失を伴う怪我を有意に減少させた。

脳振盪からの段階的な競技復帰へのプロトコルは、徐々に認知されるようになってきましたが、従来通りの休養と運動強度の調整を中心にした方法だけでは、競技復帰後の怪我の危険性を減少させる事は難しいことが示唆されています。より安全な競技復帰を実現するため、脳振盪後の治療の一環としてNMTの導入を検討してはいかがでしょうか。この研究で使われたNMTの具体的なエクササイズについては、先行されたFeasibility Trial論文(Howell DR, et al. Neuromuscular training after concussion to improve motor and psychosocial outcomes: A feasibility trial. Phys Ther Sport. 2021;52:132-139.)のAppendix Aをご覧下さい。

出典
Howell DR, Seehusen CN, Carry PM, Walker GA, Reinking SE, Wilson JC. An 8-Week Neuromuscular Training Program After Concussion Reduces 1-Year Subsequent Injury Risk: A Randomized Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine. January 2022. doi:10.1177/03635465211069372

文責
高萩真弘