COLUMN運営コラム
【Season2 vol.9】高校生アスリートにおけるCOVID-19診断後の競技復帰に関する推奨
2021.12.20 | 著者:
COVID-19パンデミックをきっかけに、アスレティックトレーナーはCOVID-19感染後の競技復帰という新たな挑戦に迫られています。アスレティックトレーナーには、アスリートの健康と安全を保証する責任があり、COVID-19感染後の競技復帰にも同じことが言えます。足関節捻挫、脳振盪、肉ばなれと同じように、アスリートが安全に通常の活動に復帰する手助けをすることは我々アスレティックトレーナーの重要な役割です。パンデミックの急激な進行のため、入手可能なエビデンスは専門家の意見に限られていますが、そんな中でも推奨されている段階的競技復帰の推奨をご紹介します。
COVID-19について
COVID-19は、感染者の心肺機能に影響を与えることが知られている。心筋炎を含む心血管疾患は、急性感染症症候群後のスポーツ復帰に関する懸念である。しかし、他の急性感染症患者での急性心外傷の発症率は1%であるのに対し、COVID-19感染者では22-28%であるという点で、COVID-19は特徴的である。高校生を対象とした研究は現時点では限られており、成熟したエリートアスリートと成長期の若年アマチュアアスリートの違いは無視されるべきではない。COVID-19感染後の認識されていない心疾患は、競技復帰を目指すアスリートにとって、命に関わる結果を含む深刻な影響を与える可能性を持っている。これらの理由から、COVID-19感染後においては、競技復帰前に徹底的な心血管検査を行うことが推奨される。どのような検査を行うかは循環器専門医や他の医師間で未だ議論されているため、アスリートのプライマリ・ケア医*によって個別に判断されるべきである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
競技復帰における検討事項
高校で働くアスレティックトレーナーは、COVID-19に感染したアスリートに関して、アスリートのプライマリ・ケア医に相談するべきである。プライマリ・ケア医は、競技参加前の身体検査や家族歴に関する情報を持っており、精密検査の必要性を適切に判断することができる。COVID-19では心血管系の懸念があるため、多くの場合紹介先は循環器専門医であるが、場合によっては、アスリートは他の専門医に紹介される可能性もある。例えば、喘息の既往歴があるアスリートに対しては心肺機能検査が有用な可能性があるし、COVID-19感染中に湿疹が見られたアスリートに対しては皮膚科での検査が有用な可能性がある。もし追加検査が必要でないと判断された場合、アスリートはATの元に戻ることができる。その際、医師は書面での競技復帰許可を提供するべきである。
医学的評価の後、アスリートを相対的不活動の状態からハイレベルな競技へ安全に復帰させる役割はATにある。深刻な病気による不活動期間の後、トレーニング量は段階的に増加するべきであることは広く知られている。この段階的復帰期間中、アスリートはさらなる医学的評価が必要となりうるような関連症状についてモニターされるべきである。Elliot(BJSM, 2020)らは、競技復帰を6段階に分け、時間・期間・心臓負荷・症状経過などについて条件を設定している。いかなる重症度においても、このプロトコルは医学的監督下で行われるべきである(表)。
推奨
COVID-19感染後の競技復帰の実例に関する報告がまとまるまでは、医療従事者は共同的に、安全な競技復帰を最優先事項として取り組むべきである。
ATはその実務の範囲内で、必要に応じて他の専門家とコミュニケーションを取りながら共同的に活動するべきである。高校レベルでは、ATとより大きな医療システムとの主な繋がりは、アスリートのプライマリ・ケア医である。したがって、全ての高校生アスリートにおいて、COVID-19感染後の競技復帰は、プライマリ・ケア医の監督下による医学的評価の後、Elliotらによって提唱された、医学的監督下による段階的復帰プロトコルを実施することが推奨される。
COVID-19感染後において、さらなる検査の必要性とAT監督下による段階的競技復帰プロトコルに関する判断は、アスリートのプライマリ・ケア医の診察に基づいて行われるべきである。
アメリカでは家庭医をはじめとした“プライマリ・ケア医”は一般的ですが、日本ではまだ馴染みがありません。さらに、大学やプロスポーツレベルでは、シーズン前の身体検査をチームドクターも交えて行うチームも多いですが、高校レベルではそこまでできるチームはまだまだ少ないと思います。このような環境においてCOVID-19感染後の競技復帰を安全に達成する上で、高校で働くアスレティックトレーナーがより積極的に医師やその他の医療従事者と連携をとっていくことが非常に重要だと考えさせられました。
出典
Kathryn Michele Calpino, Jaclyn D. Morrissette. Return-to-Play Recommendations After COVID-19 Diagnosis in High School Athletes. J Athl Train. 2021;56(10):1057-1060.
一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会. “プライマリ・ケアとは?(医療者向け)” .一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会. http://www.primary-care.or.jp/paramedic/,(参照2021-12-9)
文責
岸本 康平
COVID-19について
COVID-19は、感染者の心肺機能に影響を与えることが知られている。心筋炎を含む心血管疾患は、急性感染症症候群後のスポーツ復帰に関する懸念である。しかし、他の急性感染症患者での急性心外傷の発症率は1%であるのに対し、COVID-19感染者では22-28%であるという点で、COVID-19は特徴的である。高校生を対象とした研究は現時点では限られており、成熟したエリートアスリートと成長期の若年アマチュアアスリートの違いは無視されるべきではない。COVID-19感染後の認識されていない心疾患は、競技復帰を目指すアスリートにとって、命に関わる結果を含む深刻な影響を与える可能性を持っている。これらの理由から、COVID-19感染後においては、競技復帰前に徹底的な心血管検査を行うことが推奨される。どのような検査を行うかは循環器専門医や他の医師間で未だ議論されているため、アスリートのプライマリ・ケア医*によって個別に判断されるべきである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
高校運動部でのプロトコル作成
多くの州の体育連盟において、COVID-19感染後の競技復帰が検討されるべき懸念であることが認識され始めている。しかし、それぞれの高校でプロトコル作成の仕組みが異なり、ATが関与する程度も様々である。理想としては、高校生におけるCOVID-19感染後の競技復帰基準を、州のレベルでATが関与し作成することである。
競技復帰における検討事項
高校で働くアスレティックトレーナーは、COVID-19に感染したアスリートに関して、アスリートのプライマリ・ケア医に相談するべきである。プライマリ・ケア医は、競技参加前の身体検査や家族歴に関する情報を持っており、精密検査の必要性を適切に判断することができる。COVID-19では心血管系の懸念があるため、多くの場合紹介先は循環器専門医であるが、場合によっては、アスリートは他の専門医に紹介される可能性もある。例えば、喘息の既往歴があるアスリートに対しては心肺機能検査が有用な可能性があるし、COVID-19感染中に湿疹が見られたアスリートに対しては皮膚科での検査が有用な可能性がある。もし追加検査が必要でないと判断された場合、アスリートはATの元に戻ることができる。その際、医師は書面での競技復帰許可を提供するべきである。
医学的評価の後、アスリートを相対的不活動の状態からハイレベルな競技へ安全に復帰させる役割はATにある。深刻な病気による不活動期間の後、トレーニング量は段階的に増加するべきであることは広く知られている。この段階的復帰期間中、アスリートはさらなる医学的評価が必要となりうるような関連症状についてモニターされるべきである。Elliot(BJSM, 2020)らは、競技復帰を6段階に分け、時間・期間・心臓負荷・症状経過などについて条件を設定している。いかなる重症度においても、このプロトコルは医学的監督下で行われるべきである(表)。
推奨
COVID-19感染後の競技復帰の実例に関する報告がまとまるまでは、医療従事者は共同的に、安全な競技復帰を最優先事項として取り組むべきである。
ATはその実務の範囲内で、必要に応じて他の専門家とコミュニケーションを取りながら共同的に活動するべきである。高校レベルでは、ATとより大きな医療システムとの主な繋がりは、アスリートのプライマリ・ケア医である。したがって、全ての高校生アスリートにおいて、COVID-19感染後の競技復帰は、プライマリ・ケア医の監督下による医学的評価の後、Elliotらによって提唱された、医学的監督下による段階的復帰プロトコルを実施することが推奨される。
COVID-19感染後において、さらなる検査の必要性とAT監督下による段階的競技復帰プロトコルに関する判断は、アスリートのプライマリ・ケア医の診察に基づいて行われるべきである。
*プライマリ・ケア:『primary careとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである』(National Academy of Sciences, 1996)
一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会HPより抜粋
アメリカでは家庭医をはじめとした“プライマリ・ケア医”は一般的ですが、日本ではまだ馴染みがありません。さらに、大学やプロスポーツレベルでは、シーズン前の身体検査をチームドクターも交えて行うチームも多いですが、高校レベルではそこまでできるチームはまだまだ少ないと思います。このような環境においてCOVID-19感染後の競技復帰を安全に達成する上で、高校で働くアスレティックトレーナーがより積極的に医師やその他の医療従事者と連携をとっていくことが非常に重要だと考えさせられました。
出典
Kathryn Michele Calpino, Jaclyn D. Morrissette. Return-to-Play Recommendations After COVID-19 Diagnosis in High School Athletes. J Athl Train. 2021;56(10):1057-1060.
一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会. “プライマリ・ケアとは?(医療者向け)” .一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会. http://www.primary-care.or.jp/paramedic/,(参照2021-12-9)
文責
岸本 康平